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―――2000年初春、石川県
能登において官僚や医師を多く輩出し、未だ権勢を誇る旧家、久遠寺家。
その一室には可愛らしいウサギ柄のミントグリーンのパジャマを着せられて、
生成り色の猫の大きなぬいぐるみを抱き枕のようにして眠っている小さな女の子。
小学生にはまだ満たないくらいだろうか。
横の衣桁には平安時代の貴族の子供が着る様な汗衫や袙。山吹襲のようだ。
所々ほつれ破けて、童女の穿くような紫の袴は膝が出るくらいにボロボロになっている。
普通の人ならこの子供がこの着物を着ているとは思わないだろう。
着ているとしたら、何故この時代に、そして何故こんな状態に……
能登において官僚や医師を多く輩出し、未だ権勢を誇る旧家、久遠寺家。
その一室には可愛らしいウサギ柄のミントグリーンのパジャマを着せられて、
生成り色の猫の大きなぬいぐるみを抱き枕のようにして眠っている小さな女の子。
小学生にはまだ満たないくらいだろうか。
横の衣桁には平安時代の貴族の子供が着る様な汗衫や袙。山吹襲のようだ。
所々ほつれ破けて、童女の穿くような紫の袴は膝が出るくらいにボロボロになっている。
普通の人ならこの子供がこの着物を着ているとは思わないだろう。
着ているとしたら、何故この時代に、そして何故こんな状態に……
少し離れた一室で、30歳くらいの男女と老人、40に行くか行かないか位の男性が神妙な面持ちで話し合っていた。
「あのおひいさまは誰が引き取る?目覚めた以上、学校に通わせなければいけないし」
「神奈川に住んどる廉次郎と絢架が適任じゃろ。ちょうど来週、家が出来て引っ越すんじゃし。
絢架の母校…ほら、なんじゃったろか、良家の子女の多い学校に入れれば
パイプもできて土蜘蛛様が本格的に復興せんでものちのちの人生に困ることもあるまいて。」
「御義父様、廉太郎義兄様、本当に私たちなどでよろしいのですか?ここで静かに育てた方があの子にも良いかと」
「現代で育てる以上、小さい時から都会の空気に当てて育てた方が良い。
それに…お前たち二人は子供が出来にくい身体と聞いた。育ててはみないか、あの子を」
一同が沈黙し、次に口を開いたのは30くらいの男性。
「幼稚園の編入手続きをして、靴も服も買い揃えなくちゃな。
女の子だし、うんと可愛い服を買ってやらないと。そういえば父さん、あの子の名前は?」
老人は古文書のようなものを覗き込み
「あやね。平仮名でのみ名前が記されておる……。戸籍を作る際にはどうする?」
「そうだなぁ…絢架から一文字取って絢音。実際に親子っぽくていいだろう?」
と、いろいろ話し合っている途中、ふくふくとした人のよさそうなまかないさんが
「あのぉ…起きちゃったみたいなので連れてきましたが……」
と、まかないさんに抱っこされて、当の本人が目をぱちくりしていた。
ちなみにまかないさんは久遠寺の組織のなかでも肉弾戦最強の呼び声高い巫女である。
ボケーっとした性格ゆえに見えざる狂気の影響がやや薄いとかなんとか。
そして、女の子はしっかりと猫のぬいぐるみを抱きかかえている。
「?」
言葉の大半を忘れているようで何を言ったら良いのか分からないという風情の女の子。
絢架は立ち上がると女の子…絢音に近づき、抱き上げて
「あなたは絢音。私はあなたのママ。あれがパパで、あそこにいるのがおじちゃん。
奥に居るのがおじいちゃんよ。」
「ねー?ままぁ?ぱぁー?おじたん?おじーちゃ?」
「ふむ。絢架と絢音……心なしか顔が似ているな。本当に親子のようじゃな。」
数日後、廉次郎と絢架は車の後部座席に絢音を乗せて、完成したばかりの家へ帰っていった。
2月~3月までの間にめきめき言葉を覚え、4月からは幼稚園に編入して周囲に馴染んでいった。
能力はあらかじめ久遠寺に伝わる【相手の能力を一定時間封じる術式】を強化したものをかけて、
夏休みや冬休みに能登に帰った際にかけなおしている。
授業参観で絢架が見た絢音の姿は本当にどこにでもいる女の子だった。
~2007年・正月~
バチコーン。昼前のリビングに軽快な音が響く。
「ちょっと絢音、風邪引くじゃないの!!」
「え~、だって笑っちゃいけないやつと音楽の奴見てたら眠くなっちゃって~。
どうせ中学も内部で行けるし~。風邪引いてもグータラしててもいいじゃぁ~ん。」
「そういう気の緩みが…」
トゥルルルルルル……
「はい、久遠寺です。ああ、葛木さん。え……?」
「女王様の目覚めが近い。そちらの土蜘蛛の娘さんにもそろそろ全てを教えてあげてください」
―――――――――――――――
未熟ながらSS書いてみました。
絢音の過去、ネタはそれなりにあるんですけどねー。
背後事情で書けるかどうか………。
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