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mauve:ゼニアオイ。花言葉は信念、母性愛/bixbite:紅色の宝石。石言葉は欲情を刺激 それぞれエストの誕生日の花と石。
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デファンス・ダンジェ defense d'ange
天使の牙、の意。
--2010年7月12日、アクスヘイム
住み込み先の自室で贈り物を眺めながら、エストは今までの足跡を思い返していた。
覚えている最初の光景は、香りの強い薔薇が渓谷いっぱいに咲いている夕暮れ。薔薇の香りを胸いっぱいに吸い込んだ幼い日。その頃の名は、エストリッド・プズィーヤナ。
自分を取り囲む状況が急変したのは、それからすぐだったように思える。
木によじ登ったり走ったりの抵抗も空しく大きな麻袋に入れられ、長いことがたがたする馬車に揺られて連れてこられたのがアクスヘイム。
着いてすぐ、多分それほど高くはない値段で犯罪組織に売られた。
自分が身を置くことになった末端組織の面々は、荒くれ者の男たちと気のいい、それでいて抜け目のない女たち。それに自分とあまり変わらない年から大人一歩手前くらいまでの子供たち。
最初に覚えたのは、先達の子供たちや女たちと連れ立ってのケチな盗み。まずは市場のリンゴから。次は通行人のポケットから。
盗みがバレて城塞騎士から逃げることもままあり、それを繰り返すうちに私は皆よりもすこし身のこなしが軽いということが分かってきた。
次は同じ犯罪組織が縄張りの中で経営している酒場で、胸を丸出しにした歌姫の太鼓持ちとして猥歌や艶歌を歌った。今でも、現在の私しか知らない人が聞いたらぎょっとするような歌を口ずさむことがままある。
ここでは酒場の女に混じってしなをつくったり、おひねりを貰うことを覚えた。さすがに春は売らされなかったが。
--そして、犯罪組織に馴れてきた9歳くらいの頃、引き返せない道への最初の一歩を踏み出してしまった。
初めて、人を殺した。
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