曖昧な光を浴びながら

此処から消えたい？

「こういうのが、俗に言う……」
赤い耳飾りに触れながら一人呟くエスト。 

このまま、自分の感情すら避けてかわし続けて、感じていない、気づいていないフリをし続けていればいいの。
嫌いにも好きにもならなければ、自らが傷つくこともないって、自分で言ったのでしょう？
それに、殿方なんかもう嫌だって。
結構な数の同性が、あれのせいで苦しんで傷ついているのは馬鹿みたいだから、
それを徹底的に否定して拒否して回避して潰して生きてきたのは誰だったかしら？
自分で決めたなら、それを貫かないといけないのだと、自分に言い聞かせる。
どうせ、自分のような前科持ちの壊れ物なんて、価値は無いのだから、周囲に気づかれないように、頭を低くして生きていればいいの。

全部押し込めて、消えるまで待っていればいい。
逃げ続ければ、心の平穏がまた戻ってくるはずだから。



お菓子は作ったけど、自分で食べて「なかったこと」にしてしまおうか。どうしようか。